こよみちゃんこよみちゃんの旬便り
#まがき

心配な便りの秋に、ひと粒をていねいに

2026.10.16読了時間:約3分
まがき

少し心配なニュースが届きました。NHKによると、広島県のサンプル調査で、14日までに死んだかきの割合は多くの地点で40%以上となり、およそ80%に上った地点もあったのだそうです。

実はこの傾向、今年に始まったことではないんです。去年も瀬戸内海一帯で被害が広がり、水産庁の聞き取りでは、昨年11月下旬の時点で、広島県中東部と広島湾南部で6~9割、愛媛県や香川県で5~9割、兵庫県で「概ね8割」が水揚げ時に死んでいたと報告されました(数字は調査の時点や海域によって変わります)。それを受けて今シーズンは、育てる稚貝に九州系の遺伝子を持ったものを新たに加えるなど模索が続いています。江田島のような主要な産地でも、成育中のかきが死ぬ被害を少しでも食い止めようと、漁場の環境を改善する取り組みが行われました。

水揚げの解禁はこれから。まさに「これから旬」の走りの時期です。波乱含みのスタートですけれど、だからこそ、届いた一粒一粒を大事に味わいたいと思いませんか。今週はまがきのお話です。

ここだけの豆知識

まがきは、性別が変わることがある貝です

真牡蠣は、成長や環境に応じて、性別が入れ替わることがある生き物なんです。研究では、雄から雌への変化だけでなく、雌から雄への変化も報告されています。ただし、すべての個体が性別を変えるわけではなく、その仕組みにはまだ分かっていないことも多いそうです。一枚の殻の中で、こんなドラマが起きているとは思いませんでした。

水から出ても、しばらくは生きられます

まがきは岩などにくっついて暮らす二枚貝で、潮が引くと水から出る場所に暮らすこともあります。実験では、低温で湿度を保てば、水に入れなくても3週間ほど生きていたという報告もあるんです。ただし、生きていられる期間は温度や湿度、貝の状態によって大きく変わります。殻付きのまがきを買ったときは、商品に書かれた保存方法と期限を守ってくださいね。

賢い選び方

むき身を買うときの、見るポイントです。どれもあくまで目安なので、消費期限や保存状態もあわせて確認してください。パッケージの「生食用」「加熱用」の表示も忘れずに。加熱用は、生では食べないでくださいね。

身のふくらみ

身が大きくふっくらしていて、弾力があり、乳白色のものが目安とされています。平べったく痩せて見えるものは、避けた方が無難です。

ひだ(外套膜)の色

身の縁にあるひらひらとした部分は、黒っぽくはっきり色づいているものが目安とされています。色が薄くぼやけているときは、念のため日付を確かめてみてください。

貝柱の透明感

貝柱は、半透明のものが目安とされています。白く濁っているものは、時間が経っているかもしれません。色だけで決めつけず、ほかの点も見て選んでくださいね。

おすすめの食べ方

鍋でもフライでも、まがきをふっくら仕上げるコツはひとつです。下ごしらえで、海水と同じくらいの塩水にくぐらせること。

むき身のまがきを真水で洗うと、水っぽくなって、風味や食感を損ねてしまうことがあります。海水と同じくらいの濃さの食塩水で洗うと、身に水分が入りにくく、加熱しても縮みにくくなるといわれています。縮みを完全に防げるわけではありませんが、洗ったあとに水気をしっかり拭き取るのも忘れずに。

鍋では、身がふっくらしてきたら火の通りを確認しましょう。加熱用のまがきは、中心までしっかり火を通すことが大切です。中心温度85〜90℃で90秒以上が、ノロウイルス対策の目安とされています。フライも、中までしっかり揚げてください。たったひと手間で仕上がりがまるで変わるので、ぜひ試してみてほしいです。

水揚げが始まる前から、ちょっと波乱含みの今シーズン。それでも届く一粒一粒には、生産者の工夫と、まがき自身のたくましさがちゃんと詰まっています。本格的な旬はこれから。寒くなるこれからの数か月、大切に味わっていきたいですね。