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#こはだ

逆から読む出世魚、小さいほど値打ちが上がる

2026.10.09読了時間:約3分
こはだ

お寿司屋さんのカウンターで、ひかりものの小さな一尾が出てくる季節になりました。こはだです。

今はちょうど、体の大きさがちょうどいい頃合い。コノシロは4~6月頃に産卵を迎え、コハダになるのは9月頃で、それを過ぎるとナカズミになってしまうのだそうです。つまり今は、こはだとして一番おいしい姿でいてくれる、ちょうど真ん中のタイミング。これから先はどんどん大きくなって、呼び名も味わいも変わっていってしまいます。

今のうちに、小さくて脂の乗った一尾を楽しんでおきたいですね。

ここだけの豆知識

実は、値段が下がっていく出世魚なんです

ブリやスズキのように、成長すると呼び名も値段も上がっていく魚を「出世魚」と呼びますよね。でもこの魚は逆なんです。成長とともに名前が変わる魚の中で、一般的には小さいシンコが一番美味しいとされ一番高価になる一方、他のブリやスズキやカンパチなどの出世魚と異なり、成長とともに価値が低くなるため、「逆出世魚」と呼ばれることがあるんですよ。

大きさによって、その年に孵化した5~8cmくらいまでの幼魚を「シンコ(新子)」、8~10cmくらいの頃を「コハダ(小肌)」と呼びます。小さいほど珍重されるなんて、ちょっと面白い世界だと思いませんか。

名前は「ご飯の代わり」だったという説があります

漢字では「鰶」「鮗」「鯯」などいろいろな字で書かれるのですが、由来にも諸説あるんです。漁で大量に獲れたことから飯の代わりということで「飯こ」と「代しろ」で「飯代魚(このしろ)」となったという説があるのだそうです。

もうひとつ面白いのが、武士に嫌われていたという話。コノシロという呼び名は「この城」に転じられるので「コノシロを食う」は「この城を食う」になる為に武士からその名を嫌われたとも言われています。おいしい魚なのに、語呂のせいで敬遠されていたなんて、なんだか気の毒な気もします。

賢い選び方

見るところは3つです。

うろこ

鱗がちゃんと綺麗に付いていて身が硬く締まっており、目が黒ぐろとしてツヤ張りがあるものを選ぶのが基本です。鱗が剥げかけているものは、時間が経っているしるしです。

目

黒くて澄んでいるものを選んでください。赤く充血していたり、しぼんで見えるものは鮮度が落ちている証拠です。

お腹

腹から傷み出すので、腹が新鮮なものを選ぶのがポイントです。張りがあってふっくらしているものを選びましょう。

おすすめの食べ方

やっぱり酢締めが一番です。コツはひとつだけ。塩はしっかり、酢は短く。

この魚は、生のままでは味が薄く、小骨も気になります。塩で締めることにより余分な水分を出し、酢で締めることにより保存がきくようになるのと、子骨が柔らかくなって食べ易くなります。だから最初の塩は、味付けというより下ごしらえなんです。しっかり時間をかけて脱水することで、臭みも一緒に抜けていきます。

逆に酢に漬ける時間は短めが正解。漬け込みすぎると身が硬くなってしまうので、長時間漬けないようにするのがコツです。塩はじっくり、酢はさっと。このメリハリが、ふっくらとした身と上品な酸味を両立させてくれます。

小さな体に、出世魚なのに値打ちが下がるという不思議な運命と、武士に嫌われた過去まで背負っている魚。知れば知るほど、カウンターの一貫が味わい深く見えてきますね。今のうちに、ぜひ一尾どうぞ。