そろそろ名残、香りが濃いうちに

薬味の定番、大葉のお話です。
気づけばもう9月の末。おおばは年間を通して流通していますが、比較的多く出回るのは7月頃とされていて、露地で育つものはそのあたりが盛りなんです。ということは、今はちょうど露地物の名残どき。青じその旬は初夏から夏にかけての6月から9月頃ですから、そろそろシーズンの終わりが見えてきた頃合いです。
もっとも大葉はハウス栽培も盛んに行われているため、スーパーでは年間を通して購入することができます。だから「なくなる」心配はいらないのですけれど、露地物らしい強い香りを楽しめるのは今のうち。そう思うと、1枚の重みが変わってきませんか。

ここだけの豆知識
「紫蘇」という漢字には、命を蘇らせた話が隠れています
しそがなぜ「紫」に「蘇る」と書くのか、考えたことはありますか。これは漢名に語源を発するもので、昔、蟹を食べてひどい食中毒を起こした若者がいたそうです。通りすがりの名医が薬草を煎じた薬を与え、回復したそうです。その薬草こそが紫色のしそで、命を蘇らせた紫の草、というのが「紫蘇」の由来なんです。
薬味だと思って何気なく添えていた葉に、そんな物語があったとは。

刺身に大葉が添えられているのは、彩りだけの理由ではありません
大葉の香りのもとであるペリルアルデヒドという成分には、細菌の増殖を抑える殺菌・防腐作用があり、お刺身に大葉が添えられているのは見た目の彩りだけでなく、食中毒を防ぐ衛生面の理由もあります。夏場のお弁当に忍ばせておくのも、同じ理由なんですよ。
香りが強い葉っぱ、くらいに思っていましたけれど、ちゃんと役割があったんですね。
賢い選び方
見るところは3つです。
葉の色とハリ
葉の緑色が濃く、みずみずしいものを選ぶのが基本です。色がぼんやりしているものは、香りも弱くなっている場合が多いです。

葉先の状態
葉先までピンと張っていて、葉や切り口が変色していないものを選ぶのがポイント。しなっとしているものは鮮度が落ちているサインです。
切り口の色
束の根元、切り口が黒っぽく変色していないかも確認してください。ここに色がついていると、日持ちがあまり期待できません。
おすすめの食べ方
薬味も定番ですが、今日は天ぷらのお話を。コツはひとつだけ。衣は裏面だけにつけること。
薄めの衣を裏面だけにつけて、さっと揚げるのが、天ぷら屋さんも実践している方法なんです。両面に衣をつけてしまうと、大葉の緑色が油の中でくすんでしまいますし、香りも衣に閉じ込められてしまいます。
裏面だけなら、表側の鮮やかな緑がそのまま活きますし、揚げている間も大葉の香りがふわっと立ちのぼってきます。見た目も香りも両方欲しいときは、ぜひこの方法を試してみてください。

露地物の大葉が味わえるのも、あとしばらく。薬味としてちぎるだけでなく、天ぷらでその香りをまるごと楽しんでみるのも良いと思います。名残の時期こそ、いつもよりひと手間かけてあげたくなりますね。