こよみちゃんこよみちゃんの旬便り
#かます

これからが本番、細身の魚に会いに

2026.09.25読了時間:約3分
かます

秋風が立つと、店先に細長い魚がちらほら並び始めます。かますです。

今店頭にあるのは、まだ体が小さい「走り」のもの。秋のアカカマスは脂がよくのり、特においしいと人気なのですが、9月下旬に獲れるものはまだ50〜60g程度の小ぶりで、11月〜12月には130〜150g前後まで大きくなるのだそうです。つまり、本当の食べごろはこれから。今の時期はまだ序の口で、脂ののりの本番は11月あたりに待っているというわけですね。

細身であっさりした見た目のわりに、知られていないことが多い魚だなと感じます。今回はそんなかますのお話です。

ここだけの豆知識

「かます」という名前、実は魚とは無関係のところから来ています

「カマス」の名前は、大きな口が、藁蓆(わらむしろ)で作られた穀物や石炭を入れる袋「叺(かます)」に似ていることに由来すると言われています。魚の見た目からは想像しづらいですけれど、あの大きく開く口が、昔の袋に見えたということなんですね。

袋のほうの叺は、わらむしろを二つに折り、左右両端を縄で綴った袋で、穀物、菜、粉などを入れるのに用いられていたのだそう。道具の名前が魚の名前になる、というのもおもしろい話だと思いませんか。

「秋かますは嫁に食わすな」ということわざがあります

秋茄子は嫁に食わすなと同じ形のことわざで、秋魳(かます)は嫁に食わすなというものがあるのだそうです。秋なすと同じ言い回しで登場するくらい、秋のかますは味が格別だと昔から思われていたのでしょう。

秋鯖や秋カマスについても「嫁に食わすな」といい、秋茄子の味が格別によいことのたとえとして使われているそうです。おいしいものほど、こういう言い回しで残るものなんですね。

賢い選び方

見るところは3つです。

目

目が澄んで透明感があるかどうかを見ましょう。濁っているものは鮮度が落ちているサインです。

胴回りと体表

胴に丸みがあり、体表に張りと艶があるものを選びます。細くしなびて見えるものは、水分が抜けて身が痩せている可能性があります。

エラの色

エラもチェックして、鮮紅色のものを選びます。鮮度が落ちると赤みが抜けてピンクから肌色になってきます。ここまで見れば、お店で迷うことはほとんどありません。

おすすめの食べ方

かますといえば、やっぱり干物です。コツはひとつだけ。干す前に、しっかり振り塩をして少し置くこと。

かますは白身で淡泊なぶん、水分をたくさん含んだ魚です。アカカマスよりも水っぽいヤマトカマスは、干物にされることが多く、実際どちらの種も干すことでぐっと表情が変わります。干すことで水っぽい身が締まり、うま味が凝縮されるからなんですね。

振り塩をしたら30分ほど置いて、出てきた水分をきちんと拭き取ってから干す。ここを丁寧にやるだけで、焼いたときの香ばしさがまるで違ってきます。手間はかかりますが、身が締まった一夜干しは、買ってきた干物にはない弾力があります。

まだ小ぶりなうちは塩焼きで軽く楽しんで、脂がのってくる11月ごろにもう一度出会う。同じ魚なのに二度楽しめるなんて、ちょっと得した気分になりませんか。今のうちに味を覚えておいて、本番を心待ちにしましょう。