赤みを増していく、つぼみの正体

八百屋さんの店先で、みょうがの色合いが変わってきたことに気づきました。
みょうがには、収穫の時期で呼び分けがあります。夏みょうがは6月下旬〜7月、秋みょうがは8月〜9月に出荷されます。その中でも夏のものは「夏みょうが」、秋に採れるものは「秋みょうが」と呼ばれ、おおむね「秋みょうが」の方がふっくらとして大きいとされています。
つまり今は、青みの強い夏みょうがから、赤みの濃い秋みょうがへとバトンタッチしていく頃合い。「秋みょうが」は、鮮やかな赤色をしているので、甘酢漬けがおすすめなんですよ。夏の薬味役から、少し主役寄りの食べ方へ。そんな移り変わりを感じながら、今週はみょうがのお話です。

ここだけの豆知識
わたしたちが食べているのは、みょうがの「つぼみ」なんです
知っていましたか。私たちが食べているミョウガは、ミョウガの花のつぼみの部分で、土中に伸びた地下茎から直接つぼみが出てくるのを摘み取ったものなんです。葉が茂る地上部とは別の場所から、いきなり顔を出す不思議な野菜。
しかも、あの小さな一粒の中には、さらに小さな蕾が隠れています。縦に切ってみると、内部に蕾が3~12個あるのに気づきます。一つ買っただけで、実はたくさんの蕾を手に入れていたことになるんですね。

「食べると物忘れする」の俗説、もとをたどるとお釈迦さまの弟子の話でした
みょうがにまつわる有名な言い伝えがあります。釈迦の弟子の中に、周利槃特という、特に頭の弱い者がいた。彼は自分の名前すら忘れてしまうため、名前を書いた札を持たされていました。それでも忘れてしまい、亡くなったあとお墓から見慣れない草が生えてきて、「名」を「荷う」ことから、この草を「茗荷」と名付けたのだそうです。
ただし、これはあくまで言い伝え。ミョウガを食べると物忘れがひどくなると言われるが、これは俗説であり学術的な根拠はないそうです。安心して食べてくださいね。
賢い選び方
見るところは3つです。
色つや
全体が均一な赤紫色で、つやのあるものを選んでください。色がまだらだったり、くすんでいたりするものは鮮度が落ちている可能性があります。

先端の締まり
蕾の先がキュッと閉じているもの。花が咲いた後でも食べることはできますが、風味は落ちてしまいますので、開いてしまっているものより締まっているものを。
重みとふっくら感
手に持ったときにずっしりとして、しなびていないもの。水分が抜けていると軽く、しんなりした感触になります。
おすすめの食べ方
代表的な食べ方といえば、甘酢漬け。コツはひとつだけ。漬ける前に、サッと熱湯にくぐらせること。
さっと湯通ししてから酢に浸けると赤みが増し色鮮やかになります。生のまま漬けるより、ひと手間かけるだけで発色がまるで違ってくるんです。加熱と酢の酸が合わさることで、みょうがの色素がぐっと鮮やかな赤に変わる。目で見て楽しい一品になりますよ。
湯通しは本当に数秒でだいじょうぶ。長く茹でるとシャキシャキ感が失われてしまうので、そこだけ注意してくださいね。

夏みょうがから秋みょうがへ、少しずつ主役が交代していくこの時期。色が濃くなった一粒を見つけたら、いつもの薬味だけでなく、甘酢漬けで秋らしい食べ方を試してみてはいかがでしょうか。