追熟しない果物だから、今すぐ食べてほしい

店先にぶどうの房がずらりと並んで、目移りしてしまう季節ですね。シャインマスカットは一般的に8月、9月、10月ごろが食べごろとされていて、産地によっては10月上旬から中旬まで収穫が続くところもあるようです。まさに今は、その真ん中あたり。粒の大きさも味ものってくる、ぶどうがいちばんおいしい時期なんです。
巨峰やピオーネ、シャインマスカットと、品種によって表情が違うのもこの季節の楽しみ。今週は、そんなぶどうのお話です。

ここだけの豆知識
ぶどうは、収穫したその瞬間がいちばん甘いんです
みかんやバナナのように、置いておくと甘くなる果物がありますよね。でもぶどうは違います。ぶどうは追熟しません。収穫から時間が経てば経つほど味わいや食感が損なわれてしまうのだそうです。
甘みのもとになる糖分は、木についているあいだの光合成でつくられます。完熟する前に収穫してしまうと、それ以上完熟することはありません。だから農家さんは、木の上でしっかり甘くなるのを待ってから房を摘み取っているんですね。
買ってきてから数日置いても、甘みが増すことはない。むしろ鮮度が落ちていくだけなので、早く食べてあげるのが親切なんです。

あの白い粉、実は農薬ではありません
ぶどうの表面についている白い粉、気になったことはありませんか。果粉あるいは「ブルーム」といって脂肪酸などでできた天然成分が果皮の表面に浮き出たものなんです。
この粉には役割があって、雨や朝露などをはじいて病気を防いだり、水分蒸発を防いで鮮度を保ったりする働きがあります。だから生産者は収穫の際、できるだけ落とさないように丁寧に扱っています。
洗うときに無理にこすり落とす必要はありません。むしろ真っ白にまとっている房ほど、新鮮で丁寧に扱われてきた証だと思ってくださいね。
賢い選び方
見るところは3つです。
軸(枝)の色
緑色でみずみずしいものを選んでください。茶色く乾いているものは、収穫から時間が経ってしまっているしるしです。

ブルームの多さ
さきほどの白い粉が、房全体にまんべんなくついているもの。うっすら白く曇って見えるくらいが、ちょうど新鮮な状態です。
粒の詰まり具合
房のなかで粒がすき間なく密になっているもの。下のほうまでしっかり色づいているものは、糖もよくのっていますよ。
上手な保存の仕方
保存のコツはひとつだけ。冷やしすぎず、食べる直前に冷やすこと。
ぶどうは追熟しない代わりに、冷やし方で味の感じ方が変わります。キンキンに冷えた状態だと甘みを感じにくくなってしまうので、常温で保存しておいて、食べる30分ほど前に冷蔵庫に入れるのがちょうどいいんです。舌が甘みを感じ取りやすい温度まで、少しだけ冷えたところがベストなんですね。
冷蔵庫に入れっぱなしにしていた方は、次はぜひ試してみてください。それだけで、いつものぶどうが少し違って感じられると思いますよ。

追熟しないからこそ、買ったその日がいちばんのごちそう。今日出会った一房を、後回しにせず味わってあげてください。粒のひとつひとつに、この夏の光がしっかり詰まっているはずです。