焼く前に、少しだけ日に当てて

しいたけは一年じゅうお店にありますが、天然のものが出回るのは秋。この時期のしいたけは、香りが違います。
いつでも買えるので、なんとなく手に取ってしまいがちな食材かもしれません。でも実は、しいたけほど「ちょっとした手間で化ける」ものはないんです。
今週は、そのお話をさせてください。

ここだけの豆知識
日に当てるだけで、栄養が増えます
しいたけには「エルゴステロール」という成分が含まれています。これが紫外線に当たると、ビタミンDに変わるんです。
つまり、買ってきたしいたけをお日さまに当てるだけで、ビタミンDが増えるということ。かさの裏側を上にして日光に当てるとよいと言われています。1時間ほどでも変化がありますし、30分程度でも効果が得られるとする資料もあります。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けてくれる栄養素です。せっかくカルシウムを摂っていても、これが足りないと使われにくくなってしまうんですね。
日に当てるだけ。それだけで変わるのですから、やらない手はないでしょう。

うま味は、生のしいたけにはほとんどありません
しいたけのうま味というと「グアニル酸」という成分なのですが、これ、生のしいたけにはほとんど入っていないんです。
干して、水で戻す。その過程ではじめて生まれてきます。干ししいたけの戻し汁があんなにおいしいのは、そういう理由だったんですね。
日に当てるとうま味や香りの成分も生まれる、とする資料もあります。栄養だけでなく、味のためにも日光は働いてくれるようです。
同じきのこなのに、扱い方でここまで変わる。ふしぎでしょう。
賢い選び方
見るところは3つです。
かさの開き具合
開きすぎていないもの。内側に丸まっているものが新鮮です。かさが開くときに、胞子と一緒に風味も飛んでしまうのだそうですよ。

かさの裏側
ひだが白っぽくて、ハリのあるもの。時間が経つと茶色っぽくなってきます。ここは見落としがちですけれど、いちばん正直なところです。
軸
太くて短く、肉厚なもの。細長いものより、ずんぐりしたものを選んでください。
おすすめの食べ方
シンプルに焼くのが一番です。コツはひとつ。水で洗わないこと。
しいたけを洗うと、水に溶ける栄養や風味が流れ出てしまいます。汚れが気になるときは、キッチンペーパーで軽く拭くだけで十分。とくに菌床で育てられたものは、清潔な室内で育っているので、洗わなくてもだいじょうぶです。
軸を切り落として、かさの裏を上にして焼く。しばらくすると裏側に水分がじわりと浮いてきます。それがうま味なので、こぼさないように。塩をぱらりと振って、そのまま召し上がってください。

焼く前に少しだけ日に当てておく。それだけで、いつものしいたけが変わりますよ。