値上がりの秋、極上の一尾をどう選ぶか

朝晩が少しずつ涼しくなって、魚売り場にも秋らしい顔ぶれが並ぶようになりましたね。今週はかんぱちのお話です。
かんぱちの旬は6月から9月ごろとされていて、夏から初秋にかけて脂がのっていくと言われています。9月も半ばを過ぎた今は、ちょうど旬の締めくくりにさしかかったところ。名残を惜しみながら味わうのに、ぴったりの時期なんです。
ただ、今年はいつもよりお財布に厳しいシーズンになりそうです。豊洲市場の卸値を見てみると、2026年5月の豊洲市場におけるカンパチ(養殖)の平均卸価格は1キロ当たり2,631円で、昨年の同じ5月と比較すると3%ほど高く、2021年以降の同じ5月では本年が最高を記録しました。7月の大阪の市場でも状況は同じで、養殖カンパチ(生鮮)の平均卸価格は1キロ当たり2,354円と、昨年の同じ7月と比較して3.1%ほど高く、2021年以降の同じ7月では本年が最高を記録しています。産地の鹿児島でも「養殖カンパチ浜値過去4年最高1200円/鹿児島 在池減でさらに上昇も」という声が伝えられていて、値上がりはしばらく続くのかもしれません。
高くなっているからこそ、選び方と食べ方を知って、一尾をしっかり楽しみたいものですね。

ここだけの豆知識
「間八」という名前は、顔の模様から
かんぱちの名前、由来を知っていますか。名前の由来は、目と目の間にある「八の字」模様から「間八(かんぱち)」と呼ばれるようになったとされています。正面から見たときの眉間のあたりに、漢字の八の字のような模様が浮かんでいるんです。
これだけ姿の特徴がそのまま名前になっている魚も、なかなか珍しいと思いませんか。

実は、大きさで呼び名が変わる出世魚なんです
ブリのように大きさで名前が変わることは、あまり知られていません。本種は、日本各地で大きさによって呼び名が変わる「出世魚」でもあり、関東ではショッコ(35センチメートル以下)-シオゴ(60センチメートルまで)-アカハナ(80センチメートルまで)-カンパチ(80センチメートル以上)と名前を変えていきます。
「かんぱち」と呼べるのは、実はいちばん大きく育ったものだけ、ということなんですね。
賢い選び方
見るところは3つです。
尾びれの形
天然か養殖かを見分けるいちばん分かりやすい目印です。天然ものは尾びれの切れ込みが鋭く三角形になっているが、養殖ものは、尾びれの切れ込みが浅く丸みを帯びています。

体つきと身の色
体も天然ものが精悍であるのに比べ、養殖ものは太ってずんぐりしており、サクにすると天然物の身は淡いピンクを帯びているが、養殖ものは脂肪が多いので白っぽくなります。どちらが好みか、見比べてみるのも楽しいですよ。
血合いのつや
血合いが美しく、脂に甘みがあるものが良品とされています。血合いがくすんでいるものは、鮮度が落ちているしるしです。
おすすめの食べ方
やっぱり刺身が一番です。コツはひとつだけ。締めてすぐより、少し寝かせること。
締めたばかりのものは歯ごたえがいいのですが、締めた後に1~2日間熟成させたものは旨みがぐっと増します。時間を置くことで、うまみ成分がじわりと引き出されていくんです。買ってすぐ切ってしまいたくなる気持ちも分かりますが、そこをちょっとだけ我慢してみてください。
冷蔵庫でラップに包んで一晩置くだけでも、味の乗り方が違ってきます。かんぱちらしいコリコリとした食感と、ほんのりとした甘みの両方を楽しめるのは、この待つ時間があってこそなんです。

値上がりが続く年ではありますが、旬の終わりに差しかかった今こそ、身がしっかり締まった一尾に出会えるはず。尾びれと血合いをよく見て、少し寝かせてから味わってみてくださいね。